ベスト20選考委員の対話


Rainyの『雨、時々涙』


1.sepia
2.BE smile
3.if
4.YOU
5.DEAR
6.hope


Vo/若田菜実音
Gt/岡本 悠
Ba/吉野雄喜
Dr/maru


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第16回 Rainyの『雨、時々涙』

A: 短い期間で続けて2枚ベスト20の候補が出ましたね。今回はRainyの『雨、時々涙』です。女性ボーカルを男性陣のバックが支える典型的な女性ボーカル・ロックバンドですが…。

B: 楽器は典型的なメタル・バンドの音を出しながら、ボーカルはポップスだったりするんです。それだけだったら、メタルにもポップスにもならない中途半端な、ということもあったと思うんですが、そうではない。徹底してやっている。それがこのCDのいいところだと思います。

A: こういったタイプにありがちな「まがいもの」ではないということでしょうか? J-POPでときどきありますが、メタル風にやってみましたみたいな、あざとさがない。

B: とにかくメタルとポップスの共存に迷いがない。その明快さがいいですね。結果、Rainy独自のスタイルになってるってことなんでしょうね。

A: ボーカルはちゃんとメタルも歌えそうですよね。1曲目の「sepia」の最後のほう、「♪1人きりが淋しくて 貴方に触れてた」あたりはしっかりメタルになってます。

B: メタルとポップスのどっちにも行けそうなんだけど、意志を持ってメタルとポップスの狭間を駆け抜けている。それがレーシング・カーで疾走するようなスリリングな音になっていて、実に爽快で楽しい。

A: 実は「sepia」ではちょっと気になったことがあるんです。「求めてばかりの恋でした」ってリフレインがあって、ここだけ歌詞が敬体なんです。メロディー的にも割と目立ってキメ言葉になってると思うんですが、それにしては歌詞がちょっと安っぽくないですか?

B: 同感ですね。たまたま言葉がうまく嵌っちゃってこうなっちゃったんでしょうか? ちょっと歌謡曲っぽい。

A: 欠点というほどのことでもないのかもしれませんが、ちょっと気になりますね。

B: 気にさせるという点では、逆に成功しているのかもしれない…。(笑い)

A: 2曲目「BE smile」も、メタルとポップスの間を駆け抜ける同様の楽曲ですね。歌のほうのメタル色は多少薄いと思うんですが。

B: CDの後半の曲になるほどポップス色が強くなってきますね。

A: この曲に限らずですが、メロディーの回し方というか、持って行き方にこのバンドのオリジナリティを感じさせる部分があるような気がしたんです。「♪ありあまる真実が~」ってあたり、いいですよね?

B: というか、それ以降がなければ単なるポップスですよ。それが、メロディーがどんどん展開していく。長調と短調を行ったり来たりする。

A: なるほど、メロディーが長調と短調を行き来してるんですね。ベタではない陰影があって、聴かせどころを多く作っているような気がします。

B: それと関係があるかもしれませんが、メロディーの息が長い。和声的に完結せずにずっとつながって行きますよね。

A: メロディーの作り方はかなり巧みなんですね。

B: 要所要所で出てくるギターソロもすごいですよね。メカニックなタイプの演奏のうまいバンドです。歌のメロディーの作りと相俟って、楽曲が非常にスケール感の大きなものになっていると思います。

A: 一見ストレートなロックのようでいて、いろいろな仕掛けというか裏付けがあって、この音が出来上がったということでしょうか? では、9枚目のベスト20決定としましょう!



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