ベスト20選考委員の対話


Full Houseの『Remember』


1.voyage
2.君の声尾が染みていく心深くへ
3.Calender
4.この道
5.Relation


Vo/こっしぃ
Gt/NORI
Ba/kazu
Dr/シュン


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第17回 Full Houseの『Remember』

A: Full HouseはJapanrocks Hongkong 2010の東京決勝に出ていたバンドですね!

B: 優勝は出来なかったんですが、演奏を聴いていたら、もしかしたらいいかも…と思わせるところがありました。

A: しかしいまどきにしては随分、粗っぽいというか、ラフな音づくりですよね。

B: 私も初めて1曲めを聴いたときは、こんなラフなの、絶対ベスト20に入らないと思いました。(笑い)

A: インディーズでも、いまは丁寧に作り込まれた音が一般的ですからね。

B: そういう意味で1960年代を思わせる音です。

A: 70年代に入ってから、プロのレコーディングで、ひとりずつスタジオ入りして自分のパートの録音を完成させるって話が聞かれるようになりましたからね。

B: このCD、特に1曲めの「voyage」はつっこみどころも多いんですが、2曲めでおやっと思って、3曲め・4曲めと聴く内にだんだん納得させられたんです。

A: 2曲めの入りのメロディーはいいですね。いわゆる「つかみ」という点で成功している。

B: 3曲めはサビが印象的で、「カレンダー」と「サレンダー」という韻を踏むような歌詞も効果を上げています。4曲目はギターのリフを繰り返し重ねていくところが印象に残るし、終わりがフェイドアウトなんですね。

A: いまどきリフを重ねながらフェイドアウトっていうのも珍しいですが、それなりに効果を上げていますね。

B: フェイドアウトで曲を終わらせるのはビートルズの発明って言われてますから、これも60年代っぽさを感じさせる部分になっているかもしれませんね。まあ、メンバーを含めていまの若い人には関係ない話かもしれませんが。

A: いや、ビートルズは聴いているかもしれませんよ。

B: 5曲めは途中で急にラウド系の音に展開する部分がいい感じです。こういったように曲ごとにそれぞれ聴かせどころとなる箇所があって、1曲1曲聴き進めるうちに納得感がどんどん出てくる。素晴らしいと思いました。

A: いずれにしても、このCDには最近では聴きたくても聴けないようなリアルな演奏感がありますね。テンポが速めなのもいい。「ライブ感」っていう表現のほうが適切なのかとも思いますが、最近のライブ盤はライン録り主体でライブ感がなかったりするんで、表現に困ります。

B: ギターなんかも3本くらい入っているし、電子音が入っている部分もあるんで、オーバーダブはしてるんでしょうけど、どうしてこうした音質感が出せたのか。

A: ベースとなる部分が一発録りで、かつギターベースがライン録りでなく、アンプをマイク録りだとか。アンプ・シミュレーターが普及してから、普通にはライン録りが多くなっていますが…。

B: そのリアル感がバンドの勢いを感じさせる結果になっていますよね。こんな録音は録ろうと思って録れるもんじゃない、そんな気がします。そこが今回の候補とした理由です。

A: スタジオ側も、こういう音を録りたいんだと言われたら、逆に困るかもしれないですね。(笑い)

B: そこで、1曲めへのつっこみの話をさせてもらいたいんですが、曲の始めと終わりに波の音が入ってますね。静かな砂浜へ打ち寄せる波の音、でそのあとに曲が出てくると、つながる部分が感じられない。曲を補完する効果音になってないじゃないか。と思って歌詞を聴いてみると「コウカイの果ては」っていう歌詞が出てくる。ははあ「船出」の歌なんだと思った訳ですが、それなら船腹にあたるザザザザっていう波の音を曲の途中で入れるべきじゃないかと思う訳です。

A: ギターのソロに入る部分は、どう聴いてもタイミング的に入り損ねだったりしますしね。

B: だいたい、出だしの歌詞が「恋の華やぐ季節を過ぎて」ですからね、「なんじゃこりゃ」と思いますよね。(笑い)歌詞を書いているのはメンバーじゃないみたいですが。

A: それでも、2曲め以降でどんどんいいと思わせていく。すごい力があります。

B: 減点主義でいくと問題ありのCDかもしれませんが、加点主義で考えると「希有」と言いたいような部分がある。

A: 「バンドのリアルな勢いをCDに封じ込め得た希有のアルバム」というようなところでしょうか。それでは、記念すべき10枚目のCDベスト20に決定ということで!



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