アーティストピックアップ TRICKandTREAT

 ロック・バンド HOMM∃

 ここ1年くらいの間に、なぜか、テクニック的には申し分ないが音楽を感じさせないバンドがふえたような気がする。そんな中で、HOMM∃(オム)は、「ロックはやっぱりいいな」ということを、改めて感じさせてくれるバンドだ。ロックの原点を再認識させてくれるバンドなのだ。

 荒々しく歪んだギターが支配して一見泥臭くも思われる演奏は、テクニック的に突出したものはないにせよ、繊細でセンスのよい、スリー・ピースならではのミニマルな音を楽しませてくれる。しいて言えばオルタナ系ロックということになるが、その独特の世界観を持つ楽曲で、ジャンルを超えたまさにHOMM∃ワールドを展開する。

 メンバーは女性3人。ライブではMCも少なく、ひたすら演奏に没頭していて、その集中も好ましい。


HOMM∃(2011.4.19. 新代田FEVER)
Hystoic Vein
(左からBass ワダミツコ、Guitar/Vocal ニイマリコ、Drums キクイマホ。)

ニイマリコ(2011.8.6. 新宿MOTION)
ニイマリコ

■歌詞を書いているボーカルのニイマリコ。象徴性の高い歌詞で、イマジネーション豊かな情景を描き出す。

 特筆すべきは、言葉あそびを多用した詞が楽曲のイメージを強化するベクトルとなっていることだ。

 わたしの知る限り、日本のアーティストで、言葉あそびが歌詞の空白を埋めるのみならず、曲のイメージを上手く強化したのは井上陽水が筆頭に挙げられるが、ニイマリコは井上陽水に匹敵する才能であると思う。

ワダミツコ(2011.8.6. 新宿MOTION)
ワダミツコ

■ベースのワダミツコ。細身で長身(実際そんなに背は高くないかもしれないが)の立ち姿が印象的で、ステージではひたすら黙々とリズムを刻んでいる。

 HOMM∃の演奏の魅力は、ベースとドラムのリズム隊によるところが大きい。無駄なことは一切しないが、必要なことは全てやっているという感じの計算された音だ。ワダの要所要所のベースのフレーズにはハッとさせられる。


キクイマホ(2011.9.25. 下北沢THREE)
キクイマホ

■ドラムのキクイマホ。非常に計算されたプログレッシブなドラミングを聴かせてくれるドラマー。

 派手さはないが、嬉しいことに曲ごとに違ったパターンでドラミングを展開してくれる。まさにバンドのメンバーにドラマーがいなければならないことを思い出させてくれる存在だ。


 今回改めて既発のCD3枚を聴きなおしてみたが、ファースト・アルバムの『witchman』が思いがけずよいのに驚いた。ファースト、セカンドは若干ミキシングに難ありなのだが、よく聴いてみれば、楽曲・演奏に関しては既にファーストで完成の域に達していると感じた。このレベルを維持して既に3枚ものCDをレリースしていることは驚きだ。

 特に『witchman』の2曲目、「active die」は、ブレイクしながら進行するドラムにギターのカッティングが加わり、ボーカルが入ってベースが絡むイントロに、ぞくっとさせられる。さらにサビへの展開が秀逸で、曲を全解放する。

 おそらくロックが到達した最高の水準に位置する曲ではないかと思った。惜しむらくは曲の終わらせかたがちょっと雑なのだ。わたし自身は短く曲をまとめるのは大いに賛成なのだが、もう少し長く聴かせてほしかったと思わせるスケールの大きい曲だ。


HOMM∃(オム)の
『NO IMAGE』


1.訪問者
2.死体遊技
3.miss him
4.猿とらわれて
5.たよりない手紙
6.いいこだよ
7.ふーん
8.deadspot
9.花ざかりの森
10.製紙工場の春


Gt&Vo/mariko nii
Ba/mitsuko wada
Dr/maho kikui



HOMM∃(オム)の
『ARMY YOU』


1.LiLi
2.ist
3.ラッカ
4.mgmg
5.青くぬる(新録音)
6.まほうだいせんそう


Gt&Vo/mariko nii
Ba/mitsuko wada
Dr/maho kikui



HOMM∃(オム)の
『witchman』


1.witchman
2.active die
3.dead spot
4.lamp
5.ふーん
6.どこ
7.ドッペルゲンガー
8.青くぬる


Gt&Vo/mariko nii
Ba/mitsuko wada
Dr/maho kikui

Back Number
 TRICKandTREAT
 Hystoic Vein
 KANEKO
 紅蝴蝶
 inchworm